これまで私たちは、東南アジアを中心とする国内外で25年超にわたり無償で医療を提供してきました。
小児がんなどの高度な医療の提供は、行政の取り組みや他の国際医療支援から取り残されがちです。高所得国では助かるはずの命が、低所得国では助からない現状があります。
生まれ育った国や環境にかかわらず、全ての子どもが高度な医療を受けられるように、私たちはアジア小児医療センターの開設を決意しました。
ジャパンハートアジア小児医療センター概要
正式名称 | ジャパンハートアジア小児医療センター |
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通称 | アジア小児医療センター |
ターゲット | 貧困層の小児患者 |
病床数 | 200床程度 |
建設予定地 | カンボジア王国プノンペン都近郊 |
想定診療科 | 小児総合診療科、小児外科、小児血液・腫瘍内科、小児集中治療科、新生児内科、小児感染症内科、小児泌尿器科、小児形成外科 |
建設予定地
プノンペン都の近郊に建設予定です。
新空港建設の見込みもあり、今後数年で国内および国外からの交通アクセスがより発達する可能性があります。

建設予定地のイメージです。
建設予定地は変更となる場合があります。
なぜカンボジア・プノンペンなのか
高度な医療の提供が妨げられない国

ジャパンハートの現在の活動国は、東南アジアでも特に開発が遅れている、カンボジア、ミャンマー、ラオスの3カ国。このうちミャンマーでは、2021年のクーデター以来、公立病院の機能不全や物流の停滞などが医療体制が崩壊。ラオスは小国で医療資源が不足しており、十分な治療体制を整えるのが難しい状態です。
医療体制が整っていないのはカンボジアも同じですが、政情が比較的安定しており、高度な医療の提供を阻む要因もありません。これが、私たちがカンボジアを選んだ理由です。
国内はもちろん、周辺国からもアクセスしやすい

プノンペンはASEANの経済・物流の大動脈となる南部経済回廊の要所にあたり、国内はもちろんミャンマーやラオスを含む周辺国との交通のべんに優れています。これに加え、新たに国際空港が建設される見込みがあり、これまでより広い地域からの患者受け入れが可能となります。
医療体制構築の基盤が既にできている

私たちは2016年にカンボジアで病院を開設し、これまで6年以上にわたり運営しています。このため、病院の体制構築から人材確保までの基盤ができており、他の活動国よりも新たな病院の開設に向けた下地が整っています。
新病院でできること
新病院が開設されることで、カンボジア国内外からの受け入れ患者を増やすことができます。
また、新病院での教育プログラムを通して、カンボジアやその周辺国の医療者のレベル向上に貢献します。
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カンボジア国内からの
受け入れ患者数の拡大ジャパンハートが現在、アクセスできている人口は、カンボジア全体のおよそ5%程度にとどまっています。よりアクセスしやすく、受け入れ能力も高い新病院があれば、もっと多くの人々に医療を届けることができます。
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優れた現地医療者の
育成病院という器があっても、優れたスタッフがいなければ機能しません。私たちは、カンボジアをはじめとする活動国の医療者の育成に力を入れており、彼らが最新の技術を学ぶ場として、新病院を活用します。
私たちが描く未来
私たちは、アジア小児医療センターを、アジア全域の高度な小児医療の拠点とし、必要な患者に医療を届けるとともに、国内外から受け入れた医療従事者を育成し、アジアを代表する医療従事者の育成機関とすることを目指します。
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フェーズ
2025年
年間約150人の小児がん患者を受け入れ
当初は100床の医療機関として開始し、カンボジア国内で⼩児がんと診断された患者の治療件数を拡⼤します。同国で診断を受けている小児がん患者(300名)の約半数にあたる年間150⼈の患者の受け⼊れと治療を⽬指します。
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フェーズ
2026年
国内外の小児がんの早期発見体制を構築
低所得国では、小児がんの早期診断が難しいことが生存率を下げている原因の一つです。そこで、ベッド数を200床に増やすとともに、小児外来を積極的に受け入れ、小児がん以外の患者も含めた治療件数を拡大するなかで、小児がんを含むさまざまな小児疾患の早期診断・治療体制を構築していきます。
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フェーズ
2030年
アジアを代表する小児医療拠点の拡大
アジア全体のサバイバルギャップ削減を⽬指し、本病院をハブとして周辺国から⼩児患者や医療従事者が集う、治療と医療者育成の拠点となることを⽬指します。