アジアと日本をつなぎ、
未来の小児医療を築く
貧困や医師が少ないために医療を受けられない子どもが多くいる国と、
保険制度の充実や医師はいる一方で少子化のため人材育成機会が少ない国。
2つの事情を掛け合わせることで、解決できる課題があります。
日本のNGOがカンボジアに新病院を開設し、子どもたちに医療を届けることは、
アジアの貧困層の子どもたちの未来をつくるだけでなく、
日本の子どもたちの未来を守ることにも繋がると、ジャパンハートは考えています。
低所得国と高所得国では、小児がん患者の5年生存率は大きく異なります。高所得国では約80%の生存率に対し、低所得国においては約20%です。高所得国では助かる命が、低所得国で生まれたため助からないという現状があります。
低・中所得国と高所得国における
小児がん患者の5年生存率の推移
S.Howard, St.Jude-Viva Forum 2009
をもとにジャパンハートが作成
ジャパンハートの2030年ビジョン
アジア全体の小児がんを中心とする
サバイバルギャップを限りなくゼロにする
ジャパンハートは2004年の設立以来、東南アジアを中心とする国内外で20年超にわたり無償で医療を提供してきました。主な活動地は、貧困や深刻な医師不足に喘ぐミャンマー、カンボジア、ラオス。累計治療件数は、30万件を超えています。
しかし、現状では高度医療を必要とする子どもたちのほんの一部しか救うことができません。新病院では、「アジア全体の小児がんを中心とするサバイバルギャップを限りなくゼロにする」というビジョンを掲げ、カンボジアだけでなくアジアの貧困国全土から患者の受け入れをおこなっていきます。
深刻な少子化に喘ぐ日本では、小児科医1人あたりの子どもの数(0-14歳人口)は、2000年から2020年までの20年間で、約65%まで減少しています。
厚生労働省調査データから
ジャパンハートが作成
例えば小児がんでは、発症率は全世界でほとんど変わらないため、患者の8割が子どもの多い中低所得国に集中していると言われており、技術発展と治療機会の増加によりかつて開発途上国と言われた国々の医療水準がますます高まる一方、日本国内では特に子どもの患者の数が相対的に少ないことに加え、その多くを国内15か所の拠点病院で診ていることから、今後の高度医療分野の地域格差も大きくなると考えられます。
ジャパンハートは設立以来、現地の医療人材だけでなく、日本からも多くの医療者を受け入れることで、特に若手人材の育成に注力してきました。また昨今は高度医療提供にも注力しているため、日本の大学病院等からも医療チームの支援を受け入れ、小児がんの治療件数は2022年度には100件を超えました。国内の拠点病院をも上回る患者数を、限られた医療者の人数で治療しています。
今回の新病院も、カンボジアだけでなくアジアの貧困国全土から患者を受け入れ、また日本の医療者を積極的に受け入れることで人材育成に貢献し、そこで磨かれた技術が医療者の帰国後に日本の医療の発展に還元されることを目指しています。
アジアと日本の子どもたちが、
安心して医療を受けられる未来をつくりたい。
これが日本発祥の国際医療NGOであるジャパンハートの決意です。